台湾の外国人投資規制(FIA):日本企業が審査で注意すべきポイント

台湾の外国人投資規制(FIA):日本企業が審査で注意すべきポイント

台湾は、日本企業にとって地理的近接性のみならず、半導体を中心としたハイテク産業のサプライチェーン、成熟した消費市場として極めて重要なビジネスパートナーです。多くの日本企業が台湾市場への進出や、台湾企業との資本提携、M&Aを模索しています。そこで最初の、そして往々にして最大のハードルとなるのが外国人投資規制です。

日本と台湾は、商法や会社法の分野において多くの類似点を有しており、直感的に理解しやすい法体系を持っています。しかし、外国からの投資受け入れ、すなわち対内直接投資に関する手続きやその背後にある思想には、台湾固有の安全保障環境を背景とした決定的な差異が存在します。特に近年、台湾政府は経済安全保障を強化する観点から、外国人投資家に対する審査を厳格化しています。単なる形式的な手続きと捉えていると、思わぬ落とし穴に直面することになります。

本記事では、台湾の外国人投資規制(Foreign Investment Approval, FIA)の全体像、ネガティブリスト制度、そして日本企業が見落としがちな対中投資規制との交錯について、最新の法令や判例に基づき実務的な観点から解説します。

台湾の外国人投資法制の基本構造と日本法との決定的差異

外国人投資条例(SIFN)の法的地位と原則

台湾における外国人による投資は、基本法である外国人投資条例(Statute for Investment by Foreign Nationals、以下SIFN)に基づいて規律されています。この条例は1954年に制定されて以来、台湾の経済発展に合わせて数度の改正を経てきました。その根幹にある管理と奨励のバランスという思想は維持されています。日本企業が台湾現地法人の株式を取得する場合や、新たに子会社を設立する場合、原則としてこの条例の適用を受けます。

まず理解すべき最大の違いは、日本と台湾の原則と例外の逆転現象とも言える手続きの構造です。日本の外国為替及び外国貿易法(外為法)では、対内直接投資は原則として自由です。特定の指定業種(国の安全を損なうおそれがある業種等、いわゆるコア業種)を除き、投資実行後の事後報告で足ります。これはOECDの自由化コードに準拠した、先進国における標準的なアプローチです。

これに対し、台湾のSIFNは原則として事前許可制を採用しています。投資家は投資実行(送金)の前に、台湾経済部の担当部局である投資審議司へ申請を行い、許可(FIA)を取得しなければなりません。この原則は、製造業であれサービス業であれ、独資であれ合弁であれ、SIFNに基づく投資である限り適用されます。

日本の外為法と台湾FIAの比較

日本企業が台湾進出を検討する際、日本の外為法における手続きとの混同が最も危険なリスク要因となります。日本の外為法では、基本原則は原則自由(事後報告)であり、規制対象は指定業種のみ事前届出となっています。審査機関は日本銀行経由で財務大臣および事業所管大臣、審査期間は原則30日です。違反時の効果は株式売却命令等の措置命令(極めて稀)であり、安全保障審査における国家安全保障局等の関与は限定的です。

一方、台湾のSIFNでは、基本原則は原則許可制(事前申請・許可)であり、全業種において事前許可が必要です。審査機関は経済部投資審議司が一元窓口となり各省庁へ照会します。審査期間は通常2週間から1ヶ月、重要案件は2ヶ月から6ヶ月以上かかります。違反時の効果は投資許可の取消、株式議決権の停止、配当送金の停止、原状回復命令です。安全保障審査では国家安全局が全案件の審査に関与可能であり、近年強化されています。

日本法の実務では、多くの案件が事後報告で済むため、クロージング(資金決済)の日程を当事者間で比較的自由に設定できます。しかし台湾ではFIAの取得がクロージングの前提条件となるため、M&A契約においてはこの許可取得までの期間を見込んだスケジュール設定が不可欠です。許可が得られなかった場合の契約解除条項や、ブレークアップ・フィーの取り決めにおいて、台湾当局の裁量権の広さを考慮に入れる必要があります。

事前許可の要件は厳格に運用されています。許可を得ずに投資を行った場合、あるいは許可された内容と異なる投資を行った場合、SIFN第18条に基づき当該投資の許可取消、権利の剥奪が行われる可能性があります。最悪の場合、現地法人としての登記ができずビジネスの実体を形成できない、あるいは利益配当を日本へ送金することが許可されないといった事態に陥ります。

投資主体と適用範囲の定義

SIFNにおいて外国人投資家とは、台湾以外の国籍を有する自然人および法人を指します。重要なのは、SIFNの適用対象となる投資行為の定義が非常に広範であることです。株式の保有・出資については、台湾企業の株式を保有すること、または資本金を出資することが該当します。新設、増資引き受け、既存株式の譲渡を含みます。支店等の設置については、台湾国内に支店、独資事業、パートナーシップを設立することが該当します。長期貸付については、上記の投資先企業に対し期間1年を超える貸付を行うことが該当します。

特に1年を超える貸付が投資とみなされる点は、日本企業が見落としがちなポイントです。親会社から台湾子会社への運転資金貸付であっても、期間が1年を超える場合は単なる金銭消費貸借ではなく投資として扱われ、FIAの対象となる場合があります。これを怠ると、利息の支払いや元本の返済送金時に銀行での手続きが滞るリスクがあります。

台湾のネガティブリスト制度と投資禁止・制限業種

台湾のネガティブリスト制度と投資禁止・制限業種

台湾は外国人投資に関してネガティブリスト制度を採用しています。リストに記載されていない業種への投資は原則として許可される一方、リストに記載された業種については投資が禁止されるか、特定の条件下でのみ許可されます。このリストは行政院によって定期的に見直され、公表されています。

禁止業種

禁止業種には、国家の安全、公の秩序、善良な風俗、または国民の健康に悪影響を及ぼす恐れがあるものが指定されています。これらへの投資はいかなる条件であっても外国人には認められません。軍事・防衛関連として、武器、弾薬、軍事用化学物質の製造があります。環境・公害関連として、一部の毒性化学物質の製造など環境保護の観点から制限されるものがあります。公共交通の一部として、バス事業の一部などがあります。

日本企業がこれらの分野に直接投資することは稀ですが、化学メーカーなどが特殊な素材を製造する場合、それが軍事用や毒性物質に該当しないか事前の成分確認とHSコードの照合が必要です。

制限業種

制限業種は、外国人の投資が完全に禁止されているわけではありませんが、主務官庁の個別許可が必要となる、あるいは外資比率の上限が設けられている業種です。通信・放送事業として、第一種電気通信事業やケーブルテレビ放送、ラジオ放送などは外資規制の代表格です。金融・保険業として、銀行、保険会社、証券会社への投資は金融監督管理委員会の厳しい審査と承認が必要です。航空運送業として、航空会社や空港地上支援業務には外資比率の上限(通常49%未満など)が設定されています。電力・水道・ガスとして、公益事業は原則として公営または厳格な規制下にあり、外資参入は制限されます。

実務上の留意点:定款の事業目的

日本企業の定款には、将来の可能性を含めて多岐にわたる事業目的を記載することが一般的です。しかし台湾での会社設立や投資申請において、現地法人の定款にネガティブリスト記載の業種が含まれていると問題が生じます。たとえ実際にはその事業を行う予定がなくとも、審査が長期化したりその項目の削除を求められたりすることがあります。

たとえば出版業はかつて制限業種であった名残や、メディア関連規制との兼ね合いで注意が必要です。不動産開発や農林水産業に関連する記述も、土地法による外国人土地取得規制とリンクして審査対象となります。実態に即したミニマムな記載に留めることが、スムーズな審査通過のテクニックの一つです。

台湾における国家安全審査と中国資本の排除

現在の台湾の投資審査において、日本企業が最も警戒すべきポイントは、背後にある中国資本の影響力に関する審査です。台湾は中国からの投資(陸資)とそれ以外の外国からの投資(外資)を明確に峻別し、全く異なる法律と審査基準で管理しています。日本企業は通常外資として扱われますが、その株主構成や支配構造に中国資本が含まれている場合、非常に複雑な問題が生じます。

外資と陸資の二重軌道

台湾の投資規制において、投資家は2種類に大別されます。外国人投資家はSIFNに基づき審査され、ネガティブリスト以外の業種は原則許可されます。大陸地区投資家は大陸地区人民来台投資許可弁法に基づき審査され、投資可能な業種はポジティブリストに記載されたものに限定され、審査も極めて厳格です。日本企業であっても、定義上陸資と認定されれば、より厳しい後者の規制が適用されます。これがグローバル展開する日本企業にとっての大きなリスク要因です。

陸資認定の30%ルールと実質支配力基準

台湾の規定では、第三国の企業であっても以下のいずれかの条件に該当する場合、陸資とみなされます。30%ルールとして、中国大陸の個人、法人、団体、機構が当該第三国企業の株式または出資額の30%以上を直接または間接に保有している場合が該当します。実質支配力基準として、持株比率が30%未満であっても中国大陸の投資家が当該第三国企業に対し実質的な支配力を有している場合が該当します。

30%の計算方法は、かつては単純な乗算が認められるケースもありましたが、現在はルックスルー方式や合算方式が厳格に適用されます。日本企業の株主の中に中国系ファンドや中国企業の海外子会社が含まれていないか、あるいは日本企業が中国企業との合弁で作った香港法人が投資主体となっていないか、詳細な確認が必要です。

さらに厄介なのが実質支配力の認定です。取締役会において中国側投資家が過半数の取締役を選任する権利を持っているか、財務・運営・人事に関する重要事項について中国側投資家が拒否権を持っているか、技術供与や原材料供給において中国企業に依存しており事実上その指示に従わざるを得ない構造になっていないかなどが考慮されます。

台北双子星事件:国家安全を理由とした投資拒絶事例

実質支配力と国家安全審査の厳格化を象徴する極めて重要な判例があります。台北駅前の大規模再開発プロジェクト台北双子星への投資案件です。香港の南海控股を中心とするコンソーシアムが、台北駅前の超高層ビル開発プロジェクトに入札し優先交渉権を獲得しました。南海控股は香港証券取引所に上場する企業であり、形式上は外国人投資家として申請を行いました。

2019年、経済部投資審議委員会はこの投資申請を却下しました。却下の理由は、南海控股が形式的には中国人の持株比率基準を下回っているものの、中国大陸の影響力を強く受けていると認定したためです。経営陣の多くが中国籍または中国でのビジネス実績が深い人物であること、グループ全体の資産や売上の過半が中国本土にあること、開発対象が台北駅という交通の要衝であり国家安全保障上のリスクが高いことが重視されました。

南海控股はこの処分を不服として行政訴訟を提起しましたが、台北高等行政法院は2020年に政府の判断を支持し、原告の請求を棄却しました。この判決において裁判所は、SIFN第7条が規定する国家安全の概念は、軍事的な脅威だけでなく経済的・社会的なインフラに対する脅威も含む広範なものであると解釈しました。投資家が形式的に陸資の要件に該当しない場合であっても、当局は広範な裁量権をもって実質的な影響力や国家安全へのリスクを審査し、投資を不許可にできることを司法が追認しました。

この判決は日本企業にとっても他人事ではありません。日本企業が中国企業と深い提携関係にあり、かつ台湾の重要インフラや先端技術分野に投資しようとする場合、形式的な資本構成だけでなく中国の影響力の有無が厳しく問われる法的根拠が確立されたことを意味します。

台湾におけるプラットフォーム事業の規制:UberとTaobaoの教訓

台湾におけるプラットフォーム事業の規制:UberとTaobaoの教訓

ITやプラットフォームビジネスを展開する日本企業にとって、事業内容の登録と実態の一致は極めて重要です。台湾ではデジタルプラットフォームが既存の規制産業と競合する場合、非常に厳しい法的措置が取られることがあります。当局はテック企業だからという理由での例外を認めず、実質的なサービス内容に基づいて既存の業法を適用する傾向があります。

Uber Taiwanの事例:業種区分の争い

配車サービス大手のUberは当初、台湾で情報サービス業として法人登記を行いFIAを取得して事業を展開しました。Uber側の主張は、アプリというテクノロジーを提供しているだけであり運送を行っているのはドライバー個人であるというものでした。しかし台湾交通部はこれを実質的なタクシー運送業であると認定しました。当時の法規制ではタクシー事業には厳格な免許が必要であり、Uberは無許可営業を行っていると判断されました。当局はUberに対し巨額の罰金と営業停止命令を出しました。

Uber側はこれを不服として行政訴訟で争いましたが、台湾政府は並行して公路法の改正を行いました。無許可の運送行為に対する罰則を最高で2500万台湾ドル(約1億円)という懲罰的な水準まで引き上げました。これによりUberは従来のビジネスモデルでの継続を断念せざるを得なくなりました。最終的にUberは現地のレンタカー業者やタクシー会社と提携し、合法的な多角化タクシーの枠組みの中でサービスを提供するモデルへと転換しました。

この事例は、ITを活用した新サービスであっても台湾当局は実質的な事業内容に基づいて既存の業法を適用する姿勢を崩さないことを示しています。日本企業がMaaSやFinTech、シェアリングエコノミー等の分野で進出する場合、単に情報処理サービスとして申請するだけでは不十分です。関連する業法の規制対象とならないか、綿密なリーガルチェックが必要です。

Taobao Taiwanの事例:ブランドライセンスと実質支配

2020年、ECサイトTaobao Taiwanを運営していたイギリス登記の企業に対し、経済部投資審議委員会は41万台湾ドルの罰金と6ヶ月以内の投資撤退または是正を命じました。

この事例のポイントは、親会社はイギリス企業でありアリババの出資比率は30%未満であったにもかかわらず陸資認定された点にあります。当局は以下の事実を重視しました。アリババが株主総会・取締役会において拒否権を有しており実質的な意思決定権を握っていること、サイトの運営システムや決済システム、サーバー等がアリババのインフラに完全に依存していること、Taobaoの商標を使用しており顧客もアリババのサービスと認識していること、台湾の顧客データが中国側のサーバーに保存・管理されている疑念があることです。

これにより同社は、外資として許可を得ていたことは虚偽であり、本来は陸資としての許可を得るべきであったと判断されました。しかし陸資規制上ECプラットフォームへの支配的投資は困難であり、最終的にTaobao Taiwanはサービス終了に追い込まれました。

この事例は、日本企業であっても中国企業のプラットフォームや技術基盤をOEM/ホワイトラベルとして利用し台湾で展開する場合に同様のリスクがあることを示しています。システムは中国製だが運営は日本企業という説明がどこまで通用するかは、技術的な独立性が担保されているかにかかっています。

台湾の通信・放送セクターにおける特有の規制

日本企業が関心を持つ分野の一つに通信・メディアがありますが、ここは台湾でも最も規制が厳しい制限業種の一つです。かつて台湾の電気通信事業は第一種(インフラ保有)と第二種(サービスのみ)に明確に分かれ、それぞれに厳格な外資規制がありました。2020年に施行された電気通信管理法により市場参入は従来の特許制度から登録制度へと移行し、規制緩和が図られました。

しかしこれは外資規制の撤廃を意味しません。自ら通信網を設置するインフラ設置業者については、依然として外資の直接出資比率49%以下、直接・間接合計で60%以下という上限規制が存在します。登録が必要なサービスにおいても、国の安全に関わる場合は国家通訊伝播委員会が審査において国家安全局等の意見を聴取し、投資を制限することができます。日本の通信事業者やISPが台湾にデータセンターを設置したり、現地通信会社とJVを設立したりする場合、このインフラ保有の有無が規制の分水嶺となります。

台湾への投資審査手続きの実際と実務的フロー

台湾への投資審査手続きの実際と実務的フロー

日本企業が台湾で現地法人を設立する場合の標準的なフローと、各段階での注意点を解説します。

申請準備からFIA取得まで

まず台湾で使用する会社名(中文名称)を決定し、経済部にて商号予備審査を行い名称を予約します。次にFIA申請として、投資審議司に対し投資許可申請書を提出します。ここが最大の関門です。必要書類は投資計画書、株主構成図(実質的支配者まで遡る)、投資家の身分証明書(日本法人の登記簿謄本等)、代理人委任状などです。

審査期間は、通常の案件(ネガティブリスト非該当、投資額10億台湾ドル未満)であれば約2週間から1ヶ月です。クロスボーダーM&A、制限業種、大規模投資などの重要案件では、関係省庁への照会が行われるため2ヶ月から6ヶ月以上を要することがあります。近年は投資家の背景(中国との関係)と資金の出所(マネーロンダリング対策)が徹底的に調査されます。

資本金の送金と験証

資本金の送金については重要な注意点があります。必ずFIAの許可書を受領した後に、許可された通貨・金額を台湾の銀行口座へ送金しなければなりません。許可前の送金はSIFN違反となるだけでなく、銀行側でも資金を受け入れられず日本へ組み戻される原因となります。

送金された外貨を台湾ドルに両替した後、投資家は速やかに投資審議司に報告し、資金が正しく着金し両替されたことの確認(験証)を受けなければなりません。この投資額審定を行わない場合、将来的に利益配当を日本へ送金する際や撤退時に資本を回収する際に、外貨への再両替が認められないリスクがあります。日本の実務にはない手続きであるため、経理担当者が失念しやすいポイントです。資金の験証が完了した後、経済部商業発展署または地方自治体にて正式な会社設立登記を行い、その後管轄の税務署にて営業登記(VATナンバーの取得)を行います。

台湾における財務投資とFIAの境界線

ここまでは主に会社設立や経営権取得を目的とした直接投資について述べましたが、上場株式への投資については異なるルールが適用されます。日本の上場企業やファンドが純粋な財務リターンを目的として台湾の上場企業株式を取得する場合、通常はFINI(外国人機関投資家)としての登録を行います。FINIとして登録すれば、個別のFIAを取得することなく市場で株式を売買できます。

ただしFINIであっても、単一の上場企業の株式を10%以上取得する場合、それは直接投資の性質を帯びるとみなされ原則としてFIAの取得が必要となります。市場内取引で徐々に買い増しを進め10%を超えそうになった段階で、手続きがFIAモードに切り替わります。敵対的買収や大量保有を目指す場合には、早期の法的検討が必要です。

日本の改正外為法との比較:経済安全保障の潮流

日本でも2019年の外為法改正により、安全保障に関わる投資への事前届出基準が厳格化されました(10%から1%への引き下げ等)。台湾の動向もこの世界的な経済安全保障の潮流と軌を一にしています。日本の改正外為法はコア業種への投資規制を強化しつつも、包括免除制度を導入し定型的な投資には配慮しています。

台湾のSIFN運用強化は中国資本の迂回投資阻止を主眼に、国家安全局の関与を強化しています。免除規定は少なく、個別審査の色合いが濃いのが特徴です。両国ともに安全保障を重視していますが、台湾の場合はその脅威の源泉が地理的・政治的に特定されています。審査の運用において国籍や資本背景がより決定的な要素となる点が特徴です。

日本企業への提言:コンプライアンスと戦略的アプローチ

台湾市場は魅力的ですが、その参入障壁は可視化された規制以上に運用の厳格さにあります。日本企業がスムーズに審査を通過するためには、以下の3点が重要です。

第一に資本構成の透明化です。特に中国関連の資本や役員が含まれる場合、それを隠すのではなく、法令上の基準(30%未満かつ支配力なし)を満たしていることを客観的資料で証明する準備が必要です。

第二に事業内容の適正な定義です。Uberの例に見るように、IT企業であっても提供するサービスの実態が規制産業に該当しないか、現地の弁護士と連携して慎重に判断する必要があります。

第三に国家安全リスクへの配慮です。通信インフラ、エネルギー、重要データを取り扱う事業への投資は、たとえネガティブリスト上で禁止されていなくとも当局から厳しい質問を受ける可能性があります。データの国内保存やセキュリティ対策などを具体的に説明できるよう準備しておくことが許可取得の鍵となります。

まとめ

台湾の外国人投資規制は、事前許可制と国家安全審査を主軸とした厳格なシステムです。日本の外為法に慣れた日本企業の感覚では、手続きの順序(特に送金タイミング)や求められる情報開示の深さに戸惑う場面も少なくありません。

特に中国資本との関係性に関する審査(陸資認定)や、プラットフォームビジネスにおける実質的な業法適用は、近年の地政学的緊張を背景に一層厳しさを増しています。一方で台湾政府は半導体やAI、再生可能エネルギーなどの戦略分野については外資誘致を積極的に推進しており、適切な手続きを踏めば迅速な参入も可能です。

モノリス法律事務所はIT・テクノロジー分野を中心とした企業法務に深い知見を有しており、台湾の提携事務所である椽智商務科技法律事務所と緊密に連携しています。椽智商務科技法律事務所は台湾現地の規制実務に精通しており、外国人投資許可の申請から複雑な株主構成の整理、当局との折衝、そして会社設立後のコンプライアンスまでワンストップでサポートすることが可能です。台湾ビジネスの成功に向けた第一歩である投資許可取得について、日台双方の視点から確実な支援を提供いたします。

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