日本企業が知るべき台湾会社法の基礎知識:取締役・監査役の機関設計と現地コンプライアンス
現代のグローバル経済において、台湾は単なる製造拠点を超えた存在となっています。半導体産業を中心とした先端技術の集積地であり、アジア太平洋地域におけるイノベーションのハブとしての重要性を急速に高めています。多くの日本企業、とりわけIT企業や製造業にとって、台湾への進出はサプライチェーンの強靭化だけでなく、研究開発の加速や中華圏市場への足掛かりとして不可欠な戦略的選択肢です。
しかし、物理的な距離の近さや歴史的な親和性の高さから、台湾の法制度が日本と酷似しているという錯覚に陥りがちです。この「似て非なる」法的構造への無理解こそが、進出後のガバナンス不全や予期せぬ法的紛争を招く最大の要因となっています。台湾の会社法は、日本の旧商法やドイツ法の影響を色濃く受けつつも、独自の改正を経て進化を遂げています。特に2018年の大規模改正は、スタートアップや閉鎖会社における機関設計の柔軟性を飛躍的に高めました。一方で、取締役の実質的な責任範囲を拡大させるなど、企業のコンプライアンス体制に高度な適応を求めています。
本記事では、台湾会社法における機関設計の全貌を、条文の解釈のみならず最新の最高法院判例や実務的な運用指針に基づいて解説します。日本法との比較法的視座を堅持し、なぜ台湾では董事長のみが代表権を持つのか、なぜ監察人が日本以上に強力な権限を行使するのかについて、詳しく分析します。
目次
台湾会社法における会社形態と機関設計の基本構造
台湾会社法の沿革と日本法との構造的比較
台湾の会社法は1929年に制定されて以来、数多くの改正を経て現在の姿に至っています。その法体系は大陸法系に属し、特に日本の旧商法やドイツ法の影響を強く受けています。日本企業にとって台湾の法制度が比較的理解しやすい理由の一つですが、同時に致命的な誤解を生む土壌でもあります。
日本の会社法は2005年の現代化によって、取締役会設置の任意化や委員会設置会社制度の導入など、機関設計の自由度を大幅に拡張しました。これに対し、台湾の会社法は長らく、株式会社(股份有限公司)に対して厳格な機関構成を求めてきました。
しかし、グローバルスタンダードへの適合とスタートアップエコシステムの活性化を目的とした2018年の会社法改正は、台湾のコーポレートガバナンスに大きな転換をもたらしました。この改正により、非公開会社における取締役員数の規制緩和や、無額面株式の導入、英語商号の登記許容など、柔軟な企業運営を可能にする多くの制度が導入されました。日本企業が台湾進出を検討する際、まず理解すべきは「伝統的な厳格さ」と「新たな柔軟性」の共存です。
会社形態の選択:股份有限公司と有限公司
台湾会社法第2条は、会社を無限公司、有限公司、両合公司、股份有限公司の4種類に分類しています。日本企業が現地法人を設立する場合、実務上は有限公司か股份有限公司の二択となります。有限公司は日本の特例有限会社や合同会社に近い性質を持ち、社員(出資者)全員が業務執行権を持つことが原則です。取締役会や監査役の設置義務が緩やかである反面、株式を発行できないため、将来的な増資やIPO、ストックオプションの付与など、資本政策上の制約が大きくなります。出資の持分譲渡に他社員の同意が必要となるなど、閉鎖性が高い点も特徴です。
股份有限公司は日本の株式会社に相当し、所有と経営の分離を前提とした形態です。日本の上場企業が台湾子会社を設立する場合、あるいは将来的に現地での資金調達や上場を視野に入れているITベンチャーなどでは、ほぼ例外なく股份有限公司が選択されます。股份有限公司は、株主総会(股東会)、取締役会(董事会)、監察人という三権分立的な機関構造を持つことが法的に義務付けられています。この構造は日本の取締役会設置会社かつ監査役設置会社のモデルと類似しています。
機関構成の原則と2018年改正による緩和
従来の台湾会社法では、股份有限公司の設立にあたり取締役3名以上、監察人(日本の監査役に相当)1名以上を選任することが絶対的な要件でした。この要件は、小規模な子会社を設立したい外国企業にとって、適任者の確保や役員報酬のコストという面で高い参入障壁となっていました。
2018年の改正は、この硬直性を打破しました。現行法下では、非公開会社であれば定款の定めにより取締役を1名または2名とすることが認められています。さらに、政府または単一の法人株主が組織する会社(たとえば日本企業の100%子会社)については、会社法第128条の1の特例規定により、取締役および監察人の員数規制が適用されません。極端な場合、取締役1名、監察人なしという機関設計すら可能です。
この規制緩和は、日本企業が台湾に完全子会社を設立する際の戦略を根本から変えるものです。従来のように員数合わせのために形式的な役員を置く必要がなくなり、実質的な経営責任者のみを取締役として登記することで、意思決定の迅速化とガバナンスコストの適正化を図ることができます。ただし、監察人を置かない選択は、現地での内部統制機能を低下させるリスクも孕んでいます。親会社によるモニタリング体制の強化が不可欠です。
台湾における取締役(董事)と取締役会(董事会)の実務

取締役の資格要件と居住性の自由
台湾会社法における董事(日本の取締役に相当)は、株主総会によって選任され、会社の業務執行を決定する権限を有する構成員です。日本企業が現地法人の役員を選定する際に最も懸念する事項の一つが居住要件ですが、台湾の会社法はこの点において極めて開放的なスタンスを取っています。
台湾会社法上、取締役および監察人に対して、台湾国内に居住していることや台湾国籍を有していることを求める規定は原則として存在しません。タイやベトナムなどの東南アジア諸国で現地居住の取締役設置が義務付けられていることと比較して、台湾進出のハードルは著しく低くなっています。法的には、日本に居住する日本人経営者が、台湾へ渡航することなく台湾子会社の取締役に就任し、経営を行うことが可能です。
ただし、法律上の要件と実務上の要請は必ずしも一致しません。法人設立登記後の銀行口座開設においては、マネーロンダリング対策および顧客確認の厳格化に伴い、多くの台湾現地銀行が代表者の台湾居住やARC(外僑居留証)保有を事実上の口座開設条件として提示するケースが増加しています。税務署や行政機関との折衝においても、現地に常駐する責任者が不在である場合、手続きが遅滞するリスクがあります。IT企業などがリモート経営を前提とする場合であっても、現地に信頼できる代理人を置くか、現地法律事務所によるサポート体制を構築することが円滑な事業運営には不可欠です。
取締役会の構成と累積投票制度のリスク
取締役の任期は3年を超えてはならないと規定されていますが、再選は妨げられません。選任は株主総会の決議によりますが、日本企業が注意すべき制度として累積投票制度があります。台湾会社法第198条は、取締役の選任において、各株主が持ち株数に選任取締役数を乗じた議決権を持ち、それを特定の候補者に集中して投票できる累積投票制度を採用しています。
日本の会社法では定款で累積投票を排除することが一般的ですが、台湾ではこの制度が強行法規的に適用される場合があります。少数株主の権利保護を目的としたものですが、合弁事業においては、少数派パートナーが予期せぬ形で取締役を送り込んでくるリスク要因となります。日本企業が台湾企業と合弁会社を設立する際には、株主間契約において取締役の指名権を明確に規定し、累積投票制度による予期せぬ役員構成の変更を防止する策を講じる必要があります。
取締役会のデジタル化(ビデオ会議)
IT企業としての強みを活かし、効率的なガバナンスを実現するためには、取締役会のデジタル化が鍵となります。台湾会社法第205条は、定款に定めがある場合、取締役会をビデオ会議によって開催することを認めています。この規定に基づき、画面を通じて会議に参加した取締役は出席とみなされ、代理出席の手続きを経ることなく議決権を行使できます。取締役が物理的に出席できない場合、他の取締役に代理出席を委任することも可能ですが、開催回ごとに委任状を提出し、権限の範囲を明示する必要があります。また、一人の取締役が代理できるのは一名に限られます。
コロナ禍を経て、このデジタル取締役会の規定は実務上定着しました。日本にいる親会社の役員と台湾現地の役員が、TeamsやZoomなどを通じてリアルタイムで議論し、意思決定を行うことが法的にも正当化されています。ただし、議事録の作成と保存、署名プロセスについては依然として厳格な規定があり、デジタル署名の有効性などについては現地の最新実務に精通した弁護士の助言が求められます。
台湾における代表権の構造:董事長の絶対性と日本法との決定的相違
董事長への権限集中メカニズム
日本企業が台湾法人のガバナンスを設計する上で、最も誤解しやすく重大なリスクを孕んでいるのが代表権の所在です。日本の会社法では、取締役会が代表取締役を選定し、複数の代表取締役を置くことが可能です。社長、副社長、専務といった役職者がそれぞれ代表権を持つことも珍しくなく、各自代表の原則に基づき、いずれの代表取締役も単独で会社を包括的に代表できます。
これに対し、台湾の会社法第208条は、代表権について極めて限定的かつ独占的な規定を置いています。董事長は、株主総会、取締役会、常務取締役会を主宰し、対外的に会社を代表すると定められています。台湾の股份有限公司において、会社を代表する権限を持つのは原則として董事長ただ1名のみです。日本企業の感覚で台湾子会社の総経理に契約書の署名を任せた場合、その人物が董事長を兼任していない限り、その契約は無権代理として無効となるリスクがあります。
総経理(経理人)の法的地位と署名権限
台湾における総経理とは法的にどのような存在なのでしょうか。会社法第29条に基づき、会社は定款の定めに従って経理人を置くことができます。経理人は取締役会の決議によって任免される執行役員であり、取締役である必要はありません。
経理人は、定款や契約で授権された範囲内において、会社の業務を管理し署名する権限を持ちます。ただし、これはあくまで授権された範囲内の代理権であり、董事長が持つ法令に基づく包括的な代表権とは異なります。不動産の売買や巨額の融資契約、重要な提携契約などにおいては、経理人の権限外とされる場合が多く、董事長の署名が不可欠となります。
この構造的差異は、日台間の契約実務において頻繁にトラブルの原因となります。日本企業が台湾企業と取引を行う際は、相手方の署名者が董事長であるか、あるいは董事長から適切な授権を受けた代理人であるかを、会社の登記事項証明書等で厳格に確認する必要があります。
日本企業への実務的提言
日本企業が台湾子会社を設立する場合、誰を董事長に据えるかは極めて重要な戦略的決定事項です。現地に常駐する日本人駐在員を董事長にする場合、迅速な契約締結が可能になりますが、本社からのガバナンスが効きにくくなるリスクがあります。
逆に、日本本社の役員(非居住者)を董事長とし、現地の駐在員を総経理とする場合、重要契約のたびに日本から董事長の署名を取得する手間が発生しますが、ガバナンスは強化されます。ITツールを活用すれば、電子署名や契約管理システムを通じて、非居住の董事長が日本にいながら台湾の契約書に署名するフローを構築することも可能です。
台湾の監察人制度:日本の監査役を超えた強力な権限

監察人の役割と能動的権限
台湾の監察人は、日本の監査役に相当する機関ですが、その権限は日本法上の監査役よりも強力かつ能動的です。監察人は、会社の業務執行および財産状況を監査する権限を持ち、いつでも取締役や経理人に対して営業報告を求め、帳簿や書類を検査できます(会社法第218条)。
さらに重要なのは、監察人が取締役会に出席し意見を述べる権利を有している点です(第218条の2)。これは権利であると同時に、取締役の違法行為を阻止すべき義務とも解釈されます。取締役会が法令や定款に違反する決議を行おうとした場合、監察人は即座にその行為の中止を請求しなければなりません。
会社代表権:監察人の独占的領域
日本企業が最も注意すべき監察人の権限は、会社と取締役との間の訴訟・取引における代表権です。台湾会社法第223条は、取締役が自己または他人のために会社と売買、金銭消費貸借その他の法律行為をする場合、監察人が会社を代表すると規定しています。
この規定は、いわゆる自己取引における利益相反防止のためのものです。日本では、取締役会が承認した上で代表取締役が契約するか、代表取締役自身が取引相手の場合は別の代表取締役が契約するなどの処理が一般的です。しかし台湾では、監察人による代表が法定されています。
たとえば、日本本社(親会社)と台湾子会社との間で資金の貸し借りを行ったり、商標ライセンス契約を結んだりする場合、台湾側の子会社を代表して契約書に署名すべきは董事長ではなく監察人となるケースが多々あります。この規定を見落として董事長が署名した場合、その契約は無権代理として無効となる可能性が高く、税務調査においても否認されるリスクがあります。
監察人の設置免除と代替機関
原則として、股份有限公司には1名以上の監察人の設置が義務付けられています。しかし、2018年改正後の会社法第128条の1に基づき、政府または単一の法人が株主である会社(完全子会社)は、定款の定めにより監察人を置かないことができます。
この特例は、日本企業の100%子会社にとって、機関設計の選択肢を大きく広げるものです。伝統型として取締役3名と監察人1名を置く構成は、コンプライアンスを重視し相互牽制を効かせる標準的なものです。簡易型として取締役1〜2名と監察人1名を置く構成は、非公開会社の特例を活用し役員数を減らしつつ最低限の監査機能を残します。完全親子会社特例型として取締役1名のみで監察人を置かない構成は、意思決定は最速ですが、現地での監査機能が不在となるため親会社の内部監査部門がその役割を担う必要があります。
上場企業(公開発行会社)においては、証券取引法等の要請により、従来の監察人制度に代えて、独立取締役で構成される監査委員会の設置が義務付けられる傾向にあります。監査委員会は3名以上の独立取締役で構成され、従来の監察人の権限を包括的に引き継ぎます。
台湾における取締役・監察人の責任と忠実義務
忠実義務と善管注意義務の明文化
企業活動において損害が発生した場合、役員はどのような法的責任を負うのでしょうか。台湾会社法第23条第1項は、会社の負責人(取締役、監察人、経理人などを含む)に対し、忠実に業務を執行し、善良なる管理者の注意義務を尽くさなければならないと規定しています。
これに違反して会社に損害を与えた場合、役員はその損害を賠償する民事責任を負います。また、法令違反によって第三者に損害を与えた場合は、会社と連帯して賠償責任を負います(第23条第2項)。この忠実義務の概念は2001年の法改正で導入されたものであり、英米法の影響を受けています。利益相反の回避と、注意深く業務を行う義務の二つを包摂しています。
最新判例:経営判断の原則の導入
長らく台湾の裁判所は、取締役の責任追及において、結果責任に近い厳しい判断を下す傾向がありました。しかし、2023年から2024年にかけての最新の司法動向において、大きな転換が見られます。台湾最高法院は、米国法理である経営判断の原則を実質的に採用する画期的な判決を下しました。
最高法院112年度台上字第1306号民事判決において、取締役の経営判断が事後的に会社に損失をもたらしたとしても、一定の要件を満たしている限り、取締役は善管注意義務違反の責任を問われないという判断枠組みが示されました。その要件とは、善意かつ誠実な判断であること、十分な情報に基づいていること、利益相反がないこと、裁量権の濫用がないこと、会社運営に対する必要な監督を行っていることです。
経済部もこの判決を引用し、2025年3月に忠実義務の判断基準に関する解釈通達を発出しています。日本企業から派遣される取締役にとって極めて重要な進展です。不確実性の高いITビジネスや新規事業への投資において、適切なプロセスを経ていれば、失敗した場合でも個人の法的責任が免責される可能性が高まりました。
影の取締役の責任範囲
一方で、責任の及ぶ範囲は拡大しています。台湾会社法第8条第3項は、非取締役であっても、実質的に取締役の業務を執行したり、人事・財務・業務経営を実質的に支配して取締役に指示を与えたりする者を、取締役と同様の民事・刑事・行政責任を負う者(事実上の取締役)とみなすと規定しています。
最高法院100年度台上字第964号判決では、形式的には取締役ではない人物が、会社の実質的な支配者として取締役会を形骸化させ、不正な取引を行った事例において、会社法第8条および第23条を適用し、その人物に取締役と同等の損害賠償責任が認められました。
日本企業にとってのリスクシナリオは、日本本社の事業部長や担当役員が、台湾子会社の登記上の取締役ではないにもかかわらず、メールや会議で具体的な業務指示を出し、その指示に従った結果、台湾子会社が法令違反や損害を発生させた場合です。指示を出した本社の役職員や日本法人自体が影の取締役として認定され、台湾法に基づく巨額の賠償責任を負う可能性があります。これを回避するためには、親会社としての株主権の行使と子会社の業務執行の境界線を明確にし、子会社の取締役会の自律性を尊重するガバナンス設計が必要です。
台湾における完全子会社特例と機関設計の最適化戦略
第128条の1がもたらす変化
2018年の改正会社法第128条の1は、政府または単一の法人株主によって組織される股份有限公司に対し、重要な特例を認めています。株主総会の権限を取締役会が行使できること、取締役・監察人を選挙ではなく株主である法人が指名できること、機関構成を自由化できることがその内容です。
この規定は、日本企業が100%出資で台湾子会社を設立する場合の黄金律とも言える条項です。従来必要であった取締役3名と監察人1名という重厚な体制を、取締役1名(董事長兼務)のみという極限までスリム化された体制に移行させることができます。
特例適用のメリットとデメリット
取締役1名体制のメリットは、意思決定が極めて迅速であること、役員報酬コストの最小化、名義貸し役員リスクの排除です。デメリットとしては、独断専行のリスク、相互牽制機能の不在、有事の際のバックアップ不在が挙げられます。
監察人非設置のメリットは、コスト削減と形式的な監査プロセスの省略です。デメリットとしては、現地での内部監査機能の欠如、自己取引時の代表権者が不在となり複雑な手続きが必要になる可能性があります。
日本企業への推奨戦略としては、設立初期段階ではこの特例を最大限活用してコストを抑えつつ、事業規模の拡大や現地従業員の増加に合わせて、取締役を増員し監察人を設置するという段階的なガバナンス強化が現実的です。IT系スタートアップの場合、初期のスピード感は生命線であり、この特例の活用は大きな競争優位性となります。
台湾におけるデジタルガバナンスとIT企業の現地対応

デジタル時代の取締役会運営と証拠保全
台湾はデジタル国家を標榜しており、会社法制もITツールとの親和性が高い設計になっています。ビデオ会議による取締役会開催に加え、株主総会における電子投票も広く認められています。
IT企業にとって特に重要なのは、これらのデジタルプロセスにおける証拠保全です。取締役会がオンラインで開催された場合、その録画データやログは、後日取締役の責任が問われた際の善管注意義務履行の証拠となり得ます。最高法院判決が示した情報の十分性や議論のプロセスを立証するために、議事録だけでなく、会議資料のデジタルアーカイブ化や、ブロックチェーン技術を用いた改ざん防止措置などを導入することは、法務リスク管理の観点から有効です。
英語定款とグローバル対応
2018年改正により、台湾の会社は中国語の定款に加え、英語の定款を公式に作成・運用することが容易になりました。英語の商号を登記することも可能です。日本本社、台湾子会社、その他の海外拠点が共通言語でガバナンスルールを統一できることを意味します。
台湾現地法人の設立・運営における実務ガイド
設立・変更登記における要点
商号調査については、希望する商号(中国語・英語)が他社に使用されていないか事前調査を行います。資本金の払込と監査については、台湾の銀行口座への送金と、台湾公認会計士による資本金監査報告書の取得が必須です。投資許可については、外国企業による投資は経済部投資審議委員会の事前許可が必要であり、送金前に必ず許可を取得しなければなりません。
ビザ(ARC)と就労許可
取締役であっても、台湾で報酬を得て実務を行う場合は就労許可と居留証が必要です。銀行口座開設や税務署対応のため、代表者(董事長)がARCを取得することが推奨されます。資本金が一定額以上であれば、代表者の学歴や職歴に関わらずARCが発給される特例があります。
継続的なコンプライアンス(年次義務)
毎年1回定時株主総会を開催し、決算書類を承認する必要があります(6月末までが一般的)。会社法第22条の1に基づき、取締役、監察人、および10%超の大株主の実質的支配者情報への定期的な申告・更新が義務付けられています。違反には罰金が科されるため、現地事務所による代行管理が有効です。
まとめ
台湾の会社法は、日本企業にとって馴染み深い構造を持ちながらも、代表権の独占性、監察人の強力な権限、取締役の責任範囲など、実務的な運用において決定的な差異が存在します。特に2018年の改正法や最新の最高法院判決は、より高度で柔軟な、しかし同時に厳格なコンプライアンス体制を企業に求めています。
IT・テクノロジー企業の法務戦略に特化したモノリス法律事務所と、台湾現地の商事法務に精通した椽智商務科技法律事務所は、この複雑なクロスボーダー環境において、日本企業の皆様に以下の価値を提供します。
最適な機関設計の提案として、コストとリスクのバランスを考慮し、完全子会社特例やデジタル取締役会を組み合わせた最適なガバナンス構造を設計します。契約・交渉の代理として、董事長の代表権や監察人の役割を正確に理解した上で、無効リスクのない契約書を作成し、現地企業との交渉を有利に進めます。紛争解決とリスク管理として、万が一の訴訟や責任追及において、最新の経営判断の原則などの法理を駆使し、日本企業の利益と役員個人の法的安全を守ります。
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