トラブルを防ぐ傭船契約:台湾法における定期傭船と航海傭船の責任分界点
日本と台湾は、地理的な近接性と歴史的・経済的なつながりから、東アジアにおける最も重要な貿易パートナーの一つです。多くの日本企業が台湾の海運会社、船主、荷主と日常的に取引を行い、サプライチェーンを維持しています。しかし、海事商務の世界、とりわけ傭船契約の領域には、言語の壁を超えた複雑な法的リスクが潜んでいます。2021年のスエズ運河座礁事故が世界中の海運関係者に衝撃を与えたように、ひとたび事故や紛争が発生すれば、損害額は巨額に及び、企業の存続すら左右しかねません。
台湾海商法の体系は日本の商法と類似しつつも、契約の性質決定や責任の所在、特に定期傭船と航海傭船の責任分界点において独自の解釈運用がなされています。本記事は、日本企業が直面しがちなオフハイヤーの認定基準や、滞船料の法的性質を巡るリスクについて、最新の台湾実務と判例に基づき、日本法との比較を交えて解説します。本稿が、台湾市場でビジネスを展開する経営者および法務担当者の皆様にとって、予見可能性を高め、法的防衛を構築するための羅針盤となれば幸いです。
目次
台湾海商法における傭船契約の法的構造と基本概念
台湾海商法の体系的位置づけと契約自由の原則
台湾における海事法務を理解する上で、まず認識すべきは台湾海商法の法体系上の位置づけです。台湾海商法は民法の特別法として機能しており、海上運送に関する権利義務関係を規律する基本法です。日本の商法は2018年に約120年ぶりの大改正を経て、定期傭船契約や航海傭船契約の定義規定を現代化しました。台湾の海商法もまた、国際条約(ヘーグ・ヴィスビー・ルール等)の影響を受けつつ、独自の実務慣行を積み重ねてきました。
特筆すべき点として、台湾海商法は物品運送という包括的な概念の中に、定期傭船や航海傭船の要素を包含させる構造をとっています。台湾の海商法第39条は、船舶の全部または一部を使用して運送を行う契約について、原則として書面による作成を求めています。ただし、同条の趣旨は、契約の効力を直ちに否定する強行的な成立要件というよりも、契約内容を明確化し、紛争時の立証を容易にするための証拠法的機能に重きを置くものと解されています。そのため、個品運送契約に限らず、定期傭船や航海傭船など実質的に船舶の全部または一部の使用を伴う契約においても、書面化は実務上極めて重要であり、台湾法が準拠法となる場合には、契約条件を詳細に明記しておくことが紛争予防の観点から不可欠です。
実務上はBIMCO(ボルチック国際海運協議会)が制定したGENCON(航海傭船)やNYPE(定期傭船)などの標準書式が広く利用されています。台湾法が準拠法となる場合、あるいは台湾の裁判所で紛争が審理される場合、これらの標準約款が台湾海商法の強行法規に抵触しないかが厳格に審査されます。
日本企業が特に注意すべきは、台湾法体系における大陸法の強い影響です。英国法をベースとする世界の海運実務と、ドイツ法・日本法の影響を受けた台湾の民法・海商法体系との間には、時に概念上の摩擦が生じます。契約自由の原則は尊重されますが、民法の信義誠実の原則や公序良俗による修正機能が、英米法圏よりも積極的に発動される傾向にあります。
定期傭船と航海傭船の定義と法的性質
台湾の実務において、定期傭船と航海傭船の法的性質の区別は、責任の所在を決定する分水嶺となります。定期傭船は、船主が特定の船舶を用船者に一定期間提供し、船長および船員を配乗させた状態で、用船者の指示に従って航海を行う契約です。台湾の通説的見解において、定期傭船は船舶賃貸借と労務供給の混合契約としての性質を有すると解されています。船主は船舶のハードウェアとしての機能と、船員による運航サービスを提供する義務を負い、その対価として期間に応じた傭船料を受領します。重要なのは、船主が航海上の管理(船舶の安全、整備、船員の管理)に対する排他的な責任を保持し続ける一方で、用船者は商業上の管理(どの港へ行き、何を積むか)に対する権限と責任を持つという機能的分離です。
一方、航海傭船は、特定の港から港への航海を単位として、指定された貨物の運送を引き受ける契約です。台湾法における法的性質は、仕事の完成(運送の完了)に対して報酬(運賃)が支払われる請負契約に近似しています。航海傭船において、船主は商業的な運航リスク(燃料費、港費、航路選定のリスク等)の多くを負担します。ただし、積地および揚地における荷役時間のリスクについては、用船者との間で厳密な配分(レイタイムおよび滞船料)がなされます。
これら二つの契約形態の決定的な違いは、リスクの所在にあります。定期傭船では、航海中の遅延リスク(天候不良や港湾混雑)は原則として時間を借りている用船者の負担となります。航海傭船では、運送を引き受けた船主の負担(運賃に含まれる)となります。この原則を修正するのがオフハイヤー条項や滞船料条項であり、台湾の裁判所がこれらの条項をどのように解釈するかが、紛争解決の鍵を握ります。
台湾海商法における運送人概念の広がり
台湾海商法の特徴的な点として、傭船者が第三者(荷主)に対して船荷証券を発行した場合の責任関係の複雑さが挙げられます。台湾海商法の下では、船荷証券を発行した者が運送人としての責任を負うのが原則です。しかし、定期用船者が自己の名義で船荷証券を発行した場合、背後にいる実質的な運航者である船主も連帯して責任を負うべきかという論点があります。
近年の台湾の裁判例では、船荷証券の裏面約款にあるIdentity of Carrier条項やDemise Clauseの効力が争点となるケースが増えています。日本の商法改正により、運送人の定義や責任主体が明確化されたのと同様に、台湾でも外観法理や取引の安全の観点から、船主責任を広く認める傾向と、契約の文言を厳格に解釈して用船者のみに責任を限定する傾向が交錯しています。台湾の裁判所は荷主保護の観点から、船主と用船者が共同不法行為責任を問われる可能性を排除しない判決を下すことがあります。日本企業が船主、用船者、あるいは実質的運航関与者のいずれの立場に立つ場合であっても、契約書上の免責文言だけでは責任が限定されない可能性がある点に注意が必要です。
台湾における定期傭船契約の責任と実務上の留意点

堪航能力担保義務の厳格な運用
定期傭船契約において、船主が負う最も根源的な義務は、船舶の堪航能力を提供し、かつ契約期間中これを維持することです。台湾海商法第62条および第63条は、運送人の堪航能力担保義務を規定しており、定期傭船契約にも準用される重要な原則です。
日本の商法と同様、台湾でも堪航能力は発航時に存在することが求められます。定期傭船の特徴として、引渡し時だけでなく、契約期間全体を通じて船舶が効率的に稼働できる状態を維持する義務が課されます。台湾の裁判実務において特筆すべきは、エンジントラブルや船体の物理的欠陥による遅延が発生した場合、船主が相当の注意を尽くしていたかどうかが極めて厳格に審査される点です。
たとえば、台湾の主要港である高雄港や基隆港において、船舶国籍証書や安全管理証書の不備、あるいは最新の環境規制への不適合を理由に、寄港国当局による監督検査(いわゆるポート・ステート・コントロール)において出港停止処分を受けた場合、台湾の裁判所はこれを単なる行政上の手続き不備ではなく、船舶の堪航能力の欠如と認定する傾向があります。船主は用船者に対して債務不履行責任(損害賠償)を負うだけでなく、後述するオフハイヤーの適用により、その期間の傭船料収入も失うという二重の打撃を受けることになります。
オフハイヤー条項と台湾法独特の解釈リスク
定期傭船契約において最も頻繁に、かつ激しく争われるのが、傭船料の支払いを停止するオフハイヤー条項の適用可否です。NYPE書式第15条などの標準的な条項では、船舶の故障、船員の不足、ドック入りなどの事由により船舶が使用不能となり、その結果として運航に支障が生じた場合には、その使用不能期間について傭船料の支払いが停止されると定められています。すなわち、船主の管理領域に属する原因により船舶が本来の稼働状態を維持できない場合には、当該期間はオフハイヤーとなり、用船者は傭船料の支払義務を負わないのが原則です。しかし、台湾法の下での解釈において、日本の実務感覚とは異なるリスクポイントが存在します。
船員の不足とパンデミックの影響について見てみましょう。新型コロナウイルス感染症の世界的流行期において、台湾の港湾でも厳格な検疫措置が講じられました。船員の感染や検疫による乗下船制限のために出港が遅延したケースについて、これが船員の不足としてオフハイヤー事由に該当するか、それとも検疫上の制限として不可抗力(相互免責)あるいは用船者のリスクとなるかは、契約解釈の最前線です。台湾の法的視点では、船員の手配・健康管理は船主の専権事項であるという原則が極めて強く作用します。たとえ不可抗力的な感染拡大であっても、船内での感染発生が原因で遅延が生じた場合、それは船主側の事由による船舶の利用不能状態とみなされ、オフハイヤーが認められる(船主が傭船料を請求できない)リスクが高いといえるでしょう。
当局による拘留と原因の帰属についても注意が必要です。船舶が台湾当局によって拘留された場合、原因が船体の不備であれば議論の余地なくオフハイヤーですが、密輸疑惑や貨物書類の不備など、原因が不明確な場合が問題となります。台湾の裁判所は、事実認定においてその遅延の根本原因がどちらの管理領域にあるかを詳細に審理します。日本企業が注意すべきは、遠隔地からの対応では、台湾の現場で具体的に何が起きているかの把握が遅れがちであることです。原因の特定が遅れると、その間の傭船料負担を巡る交渉で不利な立場に立たされます。
商業的管理と安全港指定義務も重要な論点です。定期傭船では、用船者が船舶の行き先を指定する商業的管理権を行使しますが、これには安全港を指定する黙示の義務が伴います。台湾周辺海域、特に冬場の台湾海峡は荒天の難所であり、台湾西岸の港湾は季節風の影響を強く受けます。用船者が経済合理性を優先して、気象条件の悪い港や喫水制限ギリギリの泊地を指定し、結果として座礁や船体損傷が生じた場合、台湾法上、これは用船者の安全港指定義務違反として構成され、船主からの損害賠償請求が認められる可能性があります。
しかし、船長がその危険を認識しつつ、用船者の指示に無批判に従った場合、船長の専門的判断の放棄として過失相殺がなされる、あるいは船主の責任が主とされるリスクもあります。特にEver Given号事件以降、台湾の船社や法曹界では、船長(およびその雇用主である船主)の最終的な航行安全責任を重く見る傾向が強まっています。用船者の指示だからという抗弁は、明らかな危険に対しては通用しないというのが、現在の台湾実務の潮流です。
台湾における航海傭船契約と滞船料の実務
滞船料の法的性質と日本法との決定的相違
航海傭船契約における最大の係争事項は、荷役許容時間(レイタイム)を超過した場合に支払われる滞船料です。滞船料の法的性質をどう解釈するかによって、回収可能な金額が大きく変わる可能性があります。日本法や英米法において、滞船料は一般にリキデーテッド・ダメージ(予定された損害賠償額)として扱われます。用船者の契約違反(荷役遅延)に対する賠償額を、立証の負担を避けるために予め合意した金額です。台湾法においても基本的には同様の解釈がなされますが、日本企業にとって最大の落とし穴となるのが、台湾民法第252条の存在です。同条は、約定された違約金が過大であるときは、裁判所は適当な額にこれを減額することができると定めています。
契約上の滞船料が違約金としての性質を持つと判断された場合、裁判所は職権でその金額を減額する権限を持っています。海運市況が高騰している局面では、実際の船主の損害と契約上の滞船料レートが乖離することがあります。逆に市況が低迷しているにもかかわらず、過去の高いレートで滞船料が設定されている場合、台湾の用船者は民法252条を根拠に金額が過大であるとして減額請求を行うことが常套手段となっています。
これに対抗するためには、契約書において滞船料が損害賠償の予定ではなく、延長された船舶使用に対する追加の対価であるという性質を強調するドラフティングや、実際の損害額を裏付ける証拠(燃料費、人件費、次航海の逸失利益等)を綿密に準備する必要があります。日本の裁判所よりも、台湾の裁判所は衡平の原則を用いて契約金額に介入するハードルが低いという点を、強く認識しておく必要があります。
荷役準備完了通知書の有効性とWIBON条項の罠
レイタイム(停泊期間)の計算を開始するためのトリガーとなるのが、船長による荷役準備完了通知書(NOR)の提出です。NORが有効となる要件は、船舶が指定された場所に到着していること、物理的・法的に荷役準備が整っていることの2点です。台湾の主要港は慢性的に混雑しており、船舶が到着しても直ちに着岸できず、港外の錨地で待機を余儀なくされるケースが多く見られます。契約上、着岸をもって到着とする契約形態であれば待機時間は船主のリスクとなりますが、港域への到達をもって到着とする契約形態であれば用船者のリスクとなります。
多くの契約では、WIBON(Whether in berth or not:接岸しているか否かを問わず)条項を挿入して、錨地到着時点でNORを有効にしようとします。しかし、台湾の実務では、検疫済証の取得が障害となります。台湾の港湾規則や裁判例では、NORの有効要件としての法的な荷役準備完了には、検疫や通関の許可が含まれると解されるのが一般的です。錨地に到着したものの、検疫官の乗船が遅れて検疫済証が取得できていない場合、WIBON条項があっても法的な準備が完了していないとしてNORが無効とされるリスクがあります。検疫完了までの待機時間がレイタイムに算入されない(すなわち滞船料が発生しない)との判断が下される可能性があるのです。
これを防ぐためには、契約書にWIFPON(Whether in free pratique or not)条項を明記し、検疫未了であってもNORを有効とする旨を合意しておくことが不可欠です。この条項の有無が、数百万円単位の滞船料の帰趨を決める事例が散見されます。
いわゆる「Once on demurrage」原則の台湾における適用限界
英米法由来の格言「一度滞船料が発生すれば、常に滞船料が発生する」は、ひとたびレイタイムを超過して滞船状態に入れば、通常であればレイタイムから除外される期間(雨天、休日、ストライキ等)であっても、すべて滞船料の計算に含まれるという原則です。
台湾の実務においても、GENCON等の標準約款を使用している限り、この原則は基本的に尊重されます。しかし、台湾海商法や民法の信義誠実の原則が修正要素として介入します。たとえば、滞船期間中に、船側のエンジントラブルや船員のストライキなど、明らかに船主の責めに帰すべき事由によって荷役が物理的に不可能となった時間帯がある場合、台湾の裁判所はその期間についてまで滞船料を請求することは権利の濫用であるとして、当該期間を滞船料計算から除外する判決を下す可能性が高いです。日本の実務と比較して、契約の文言通りの厳格適用よりも、実質的な公平性を重視する司法判断の傾向があることを理解しておくべきでしょう。
台湾における海事紛争の消滅時効と管轄

消滅時効の短さと時効中断の要件
日本企業が台湾企業とのトラブルで最も警戒すべき法的な落とし穴の一つが、債権の消滅時効の短さです。日本法では、改正商法下において、運送人の責任に関する消滅時効は原則1年ですが、債権一般の時効は権利行使可能時から5年(民法)など、事案により異なります。台湾法では、台湾海商法第56条第2項が、貨物の損害賠償請求権について引渡しの日から1年で消滅すると定めています。これはヘーグ・ヴィスビー・ルールに準拠したものですが、さらに注意が必要なのは、運賃や滞船料の請求権に関する台湾民法の規定です。台湾民法第127条は、運送費等の特定の債権について2年の短期消滅時効を定めています。
さらに実務上重要なのは、時効を中断させるための要件です。日本では、内容証明郵便等による催告を行えば、そこから6ヶ月間は時効の完成が猶予されます。台湾法において時効を確定的に中断させるためには、単なる請求書の送付や督促だけでは不十分であり、催告から6ヶ月以内に裁判上の請求(訴訟提起、支払命令の申立て)あるいは仮差押え等の強力な法的措置を講じなければ、時効中断の効力が遡及して消滅してしまいます(台湾民法第130条)。
メールで交渉を続けているから大丈夫だろうと日本側が考えている間に、台湾法上の権利が消滅してしまうケースは後を絶ちません。トラブル発生後、交渉が長期化する兆しが見えた段階で、直ちに台湾の弁護士を通じて時効中断措置を行うことが、債権保全の絶対条件です。
2020年台湾最高法院決定による専属管轄のパラダイムシフト
長年、台湾における国際海事紛争の解決を難しくしていたのが、契約上の裁判管轄条項の効力に関する台湾裁判所の消極的な姿勢でした。日本企業が東京地方裁判所を専属管轄とすると契約書に明記していても、荷揚地が台湾であれば、台湾の裁判所は当事者間の実質的な合意が認められない、台湾で裁判を行うことが著しく不便とは言えない等の理由で、管轄合意を無効化し、自国の管轄権を認める傾向が強かったのです。
しかし、この状況は2020年7月の台湾最高法院大法廷決定によって劇的に変化しました。この決定において最高法院は、国際的な商取引における専属管轄合意の重要性を認め、以下の要件を満たす限り、外国裁判所への専属管轄合意は原則として有効であり、台湾の裁判所はその管轄を排除すべきであるという新判断を示しました。
- 当事者間に明確な合意が存在すること
- 指定された外国裁判所が当該事件に対して管轄権を有していること
- 当該外国での裁判が台湾の公序良俗に反しないこと
- 当該外国での裁判が当事者にとって著しく不公正または困難でないこと
この判例変更は、日本企業にとって朗報です。契約書に明確に日本の管轄を定めておけば、台湾企業から台湾で訴えられたとしても、管轄違いとして却下を求め、予見可能性の高い日本の法廷で紛争を解決できる可能性が高まりました。そのためには契約交渉段階で管轄条項について明確に協議し、その記録を残しておくことが、後の合意の明確性を立証する上で重要となります。
比較表:日本法と台湾法における主要な相違点
| 論点 | 日本法(改正商法・実務) | 台湾法(海商法・民法・実務) | 日本企業への影響・対策 |
| 傭船契約の定義 | 商法で定期傭船・航海傭船を明文規定 | 海商法の運送契約に包含。民法・慣習法で補完 | 契約書での定義がより重要になる。台湾海商法の強行規定抵触に注意。 |
| 滞船料の性質 | 損害賠償の予定(原則減額不可) | 違約金と解されれば裁判所が減額可能(民法252条) | 滞船料の算定根拠を明確化し、追加運賃としての性質を持たせる工夫が必要。 |
| 消滅時効 | 運送人責任:1年(原則)、一般債権:5年(民法) | 運送人責任:1年(海商法56条)、運送費等:2年(民法127条) | 時効期間が短い。催告後6ヶ月以内の提訴が時効中断に必須。 |
| 外国管轄合意 | 原則有効 | 従来は無効傾向だったが、2020年判例変更で原則有効へ | 管轄条項を明確に合意・記録化することで、日本での解決が可能に。 |
| 船主責任 | 運送人と船主の責任分担が明文化 | B/L発行者が傭船者でも、船主が連帯責任を負う解釈があり得る | 船主側はIndemnity(求償)条項を強化し、実質的なリスク転嫁を図る必要あり。 |
| 船舶先取特権 | 商法に基づき認められる | 海商法24条等で規定。優先順位や対象が異なる場合あり | 台湾での船舶差押えには現地の詳細な手続き知識が必要。 |
まとめ
本記事で詳説した通り、台湾における傭船契約の法的リスクは、条文上の文言だけでなく、裁判所による独自の解釈指針(滞船料の減額権限、オフハイヤーの原因認定、時効中断の厳格さ等)に深く根差しています。
定期傭船においては、パンデミックや地政学的リスクに伴う船員不足や当局拘留が、不可抗力ではなく船主の管理責任とみなされるリスクを前提に、契約条項を精査する必要があります。航海傭船においては、滞船料が減額されるリスクを回避するための理論武装と、NORを有効にするための検疫関連条項(WIFPON)の整備が不可欠です。紛争解決においては、2020年のパラダイムシフトを活用し、日本管轄を確実に合意すること、そして短期消滅時効にかからないよう、迅速な法的アクションを起こす体制を整えることが肝要です。
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